「英語」についてつらつらと

 またちょっと固い話を。
 この間、日本語の話をしたので、今日は「英語」について語ってみたい。
 私自身は、単なる受験科目でしかなかったのですが、担当が文系ということで、英語もチラホラと教えています。旦那が英語教師なので、分からなくなるとすぐに聞く。歩く辞書代わりに使ってます(笑)
 さて、この間、テレビ見てたらあの「ヤマ○」の英語教室CMを見ました。ええ?!!って思いましたね〜。音楽教室だけでは食っていけなくなった訳ですね。今現在、私は音楽教室には通ってますが、その先生が言ってた通り・・・。月3回のレッスンになったとも聞きましたし。
 今、猫も杓子も英会話。ですね〜。色んなタイプの教材も出来て、教室もいっぱい増えて。親御さんは、子供に小さい時から習わせて、国際化に向けて教育を施す。とっかかりとしてはいいと思います。まず最初の足がかりとしてはね。ただ、あまり過信しすぎると、中学入ってつまずきます。実際につまずいて、英語嫌いになった子を何人も見てきたので、ちょっとどうなんだろうか?と考えてしまいます。

 なぜ、つまずくのか。中学では「挨拶の仕方や単語」はもちろんそんなにやらないです。中学からの英語は「文法」が主になります。小学校でも英語が始まっているところがあると思いますが、まだ「英会話初めの一歩」からそれほど先に進んではいないですよね。つまり、そんな状態の子供でも「自分は英語を習ってきた」という自信がつきますから、中学で習う「しちめんどくさい文法」には面白みを感じないし、何せ英語には「自信」がある。「こんなこと、もう知っているよ」って、中1くらいまでの内容に対して思っちゃうみたいなのです。これがずっと続けばどうなるか。反抗期にもなりますから、素直に文法を学ばなきゃ!という気持ちも起こりにくく、高校受験時には・・・とつまずいてしまう。
 と、ここで、会話表現で使わないような文法に意味はあるの?という疑問も出てきます。実際、こういう批判を受けて、現在の英語の教科書は非常に「会話表現重視」で、文の形をそのまま覚えさせて、ネイティブの先生と会話をする。という授業が必ず組み込まれています。これはこれでいいんです。何しろ、国際化と叫びながら、日本は実際に海外の人たちと接する機会が少ないという、不思議な国ですし。ですがね、会話表現で使うものというのは、あくまで「話し言葉」なのです。日本語だって、わざわざ主語言わなくてもいい文っていっぱいありますよね。でも、それを書き言葉でやってしまっては通じない。要するに、「文法」というのは、英語の「書き言葉」を習得するためのものなのです。
 「話せればいいじゃん」っていう子供もいます。でも、中学で習っている英語は「話す力」になってないからいらないってことではないですよね。そもそも、「国際化」って何でしょう?海外へ行って、習った英会話で現地の人と日常会話を交わすことで終わり?違うと思うんですが。国際化っていうのは、「国境を越えた人達と論理的な意見交換ができる」ようになることだと思うんです。そういう能力を育てることが「国際教育」ではないのでしょうか。
 この「論理的」な力を伸ばすためには、「言語力」を伸ばすことでしょう。日本語学で有名な、最近テレビにも出てらっしゃる斉藤孝先生の本を何冊か読みましたが、言語力=思考力になり、それが論理的に物事を考える力になるとありました。英語に置き換えれば、「文法」そのものです。文法って聞くと、みんな嫌な顔をするんですが、例えば英字新聞。これを読むにはまさに「文法」がいります。英会話で習ったことだけでは太刀打ちできません(私も出来ませんが)そりゃそうですよね。いっぺん通りの「文の形」しか習ってないのに、「書き言葉」を理解できるはずが無い。中学で習い始める「文法」は、英語の成り立ち・文の構造から学びます。実はそうなのですよ?今ちゃんと学校で教えてくれる先生が非常に少ないのが残念ですが。本当に子供に「国際教育」させたいのであれば、「英会話」ではなく「文法をきちんと教えてくれるところ」に通わせる方が本当の「国際人」に育ちます。私もそうしたいと常々思ってます。

 それに、英語を母語のように学ぶことは、この日本では無理です。英会話教室に1週間に数回通って程度ではとてもとても。そのうち飽きて嫌になってしまうでしょうね。塾業界の中でも、英会話教室と提携している所が増えていて、私も以前、教室を英会話の方に貸している状態にありました。でも、生徒さんのサイクルは非常に早いです。子供って飽きるの早いから、同じようなこと繰り返しているとすぐ辞めてしまうパターンが多い。長く続いていた子でも、1年くらいですね。小さい頃からペラペラにさせたいのなら、手っ取り早く外国に行くのが一番です。ただし、あまりにも小さい時に母語以外の言葉を聞き学んでしまうと、その子の中で混乱が生じて情緒不安定になったりするそうです。医学的根拠があるんだとか。確かに、公用語というのがある国でもそんなに早くから学んでないですものね。
 「第二言語」として英語を学ぶには、日本語をきちんと学ぶこと。これが大事なんじゃないかな〜と思います。何だか最近の傾向として、日本語はどんどんおろそかになっているのに、英会話ばっかりに目が行ってるな〜と残念に思います。先述の「論理的思考力」は母語でまず身につけるしかありません。第二言語というのは、母語との違いをはっきりさせて、その違いを覚えていくことで身につく。その形でしか、「後で習う言語」を本当の意味で論理的に使うことは出来ないと思います。日本語もまともに習ってないのに、英語?これでは、いつまで経っても「日本人が話す英語」の枠を越えることは出来ないんじゃないかな〜。

 旦那はペラペラに話せる人ですが、幼少時代は全くやってません。学校の成績はアヒルの行列だったみたいですが、英語だけ特出して良かったとか。それで、英語を生かせる進路を選んだらしいですが、今でも英字新聞を読んでますし、借りてきた外国映画は原語版で見てます。身につけたものを維持するのは大変そうです。
 そんな旦那はまさに塾で「文法」を教えています。というより、「文法」しか教えていないです。当たり前っちゃ当たり前ですけどね。塾でまで会話は教えないわ。でも、その代わり、懇切丁寧に、これでもか!っていうくらいの反復練習で教えてます。私が聞いても「なるほど〜」と思ってしまうほど。子供たちは、そんな厳しい反復練習も物ともせず、夢中になって書きまくってます。

これから、子供さんに英会話を習わせようかな〜と思ってる親御さん。
まず、冷静に「日本語と英語どっちが大事か」考えてみてくれると嬉しいです。国語教師として。
母語を正確に扱えない国際人なんて、国際社会に出て行った時に馬鹿にされるだけです。
「中身が伴っていない人」として。
教育に携わる身として、言語を教えている身としては、そんな大人を作りたくない。と思ってしまいます。
同じお金をかけるなら、「日本語をきちっと教えてくれる」ところへかけたほうが良いです。

それから、今現在英語を学んでいる学生さん。
文法って、覚えたら後は楽しいものです。「物事の本質」を見た気になれます。
物事の本質を見る目は、この後何にでも使える大切な能力。もう一度振り返ってみて欲しいというのが私の本音です。

でも、私が世の中の流れを変えるなんてことは到底できないから、せめて私の出来る形で、私の手の及ぶ範囲だけでも言語力=思考力を教えて行きたい。旦那はもっともっと切実に考えてます。もっともっと視野が広いですけどね。


以上、固い話第2弾「英語編」でした。
相変わらずまとめるのに時間がかかります・・・私も精進せねば!
comments (0) | trackbacks (0) | admin

Talk > 教育語り

Comments

Comment Form

com_End

Trackbacks

tb_End

Cappriccioso(カプリチオーソ:気まぐれ)ブログです。
過去の旅日記・結婚準備期を筆頭に、日々の愚痴、
その他萌え話、こだわり話など「気まぐれに」おいてます。
更新は超不定期・・・

NEW ENTRIES
CALENDAR
Categories
RECOMMEND
【きらきら(初回限定盤)】…
きらきら(初回限定盤)

Music (発売日:2007/07/25)
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
ARCHIVES
PROFILE
OTHER